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LINE一強に対抗するメッセージサービスは

皆さん、こんにちは。

日本人の8割が利用していると言われ、圧倒的なシェアを誇るメッセージアプリ「LINE」。

もちろん私も使っています。

いまや社会インフラ化していると言っても良いでしょう。

しかしその一方では、LINEの個人情報に海外からアクセスできるようになっていた問題などにより、運営元のLINEヤフー株式会社が総務省から2度に渡る行政指導を受けるなど、リスクがあることを、以前のニュースレター記事で紹介しました。

 

◇以前のニュースレター「ビジネスにLINEを使うリスクとは」(2024/4/2)

 

また、LINEに代わる国産メッセージサービスとして、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクが提供する「+メッセージ(プラスメッセージ)」と、楽天モバイルが提供する「Rakuten Link」についても紹介し、3社と楽天モバイルでなぜ別々になっているのかの理由も解説しました。

 

◇以前のニュースレター「+メッセージとRakuten Linkとが分かれている理由」(2024/4/9)

 

+メッセージやRakuten LinkはいずれもRCS(リッチコミュニケーションサービス)という規格に基づいていることは、上の記事でも紹介しているとおりですが、これらのRCSアプリに関して、この記事以降に新たな動きが広がってきていますので、今日はこれについて紹介したいと思います。

複雑化してきたRCSアプリのイメージ写真

RCSアプリの複雑化と相互接続の現実

最初の大きな動きは、KDDIが昨年5月、Googleが提供する「Googleメッセージ」をAndroidスマートフォンの標準メッセージアプリに採用すると発表したことです

 

◇ITmedia Mobile「KDDIの『Google メッセージ』採用で『+メッセージ』はどうなる? iOS 18のRCS対応も追い風に」(2024/6/12)

 

+メッセージとGoogleメッセージは併用できないため、auユーザーはどちらを標準のメッセージアプリとするか、選択して使います。

さらに今年に入って、KDDIは衛星とスマートフォンとの直接通信サービス「au Starlink Direct」の提供を開始し、Googleメッセージを使って衛星経由でGoogleのAI機能「Gemini」を利用するなど、Googleメッセージのユースケースを広げる動きを進めています。

 

◇以前のニュースレター「いよいよ始まったスマホと衛星との直接通信」(2025/4/22)

 

一方、Appleが昨年9月リリースのiOS18から、同社の「iMessage」をRCS対応としたことで、KDDIはGoogleメッセージとiMessageの間でRCS準拠の通信を標準サポートしました。

このように、RCSアプリが、従来の+メッセージとRakuten Linkに、GoogleメッセージやiMessageも加わり、複雑化しています。

そこで、これら4アプリ相互間での通信の可否や料金について、表に整理してみました。

RCSアプリ相互間の送受信を整理した表

※auユーザー同士(サブブランドのUQmobile、Povoを含む)で、かつ両方のスマホがRCSに対応していれば、RCS通信が可能となり「◎○無料」となる。

テキスト送信の赤い「◎」と「○」の違いは、「◎」が同一のRCS仕様に基づいた通信により、文字数制限なしで、受信側の既読確認ができるのに対し、「○」は昔ながらのSMS(ショートメッセージサービス)に変換して送信することを意味し、文字数は全角70文字まで(70文字を超える場合は分割送信)、既読確認もできません。

ひと口に「RCS対応」と言っても、実は細かな仕様の違いがあり、異なるアプリ間では完全な互換性は確保されていないのです。

したがってこの表のとおり、同じアプリ同士なら、同一のRCS仕様で文字数無制限、既読確認可、画像などのファイルも送信可、そして無料で通信できるのに対し、異なるアプリ間ではSMS変換となり、画像も送れず、また文字数に応じた料金が発生(70文字以内なら税込3.3円)することとなります。

ただしRakuten Linkから送信する場合だけは、完全無料通話をうたい文句にしていることもあり、相手方が+メッセージ、Googleメッセージ、iMessageの場合でも、SMS変換ではあるものの、無料ということになります。

メッセージアプリのイメージ写真

LINE一強に対抗するメッセージサービスの課題と展望

iMessageについては、詳細仕様は不明ながら、Googleメッセージが準拠する「jibe(ジャイブ)プラットフォーム」の規格に合わせてきている模様で、auユーザー同士であれば、Googleメッセージ~iMessage間で、RCS規格での通信、つまりテキスト文字数無制限で画像添付もでき、無料で通信が可能となります。

もともとRakuten Linkだけは別扱いのため、4キャリア共通でLINEに対抗するという形にはそもそもなりようがありませんが、GoogleメッセージやiMessageの台頭で、ますます複雑化し、LINE一強の牙城を崩すことは遠のいた印象です。

+メッセージをjibeプラットフォーム準拠に改良するのが真っ当なやり方でしょうが、3キャリアの共同開発のため、足並みを揃えるのが難しいのだろうと思われます。

KDDIがGoogleメッセージに舵を切ったのも、そういった事情があるのかもしれません。

一つのアプリが独占している状態は、利用者側にとってリスクとなり得ます。

とは言え、「シェア8割」の牙城を崩すことは容易ではありません。

異なる通信キャリアやアプリ間であっても、仕様を統一し、相互接続性を確保することができれば、リッチコンテンツを無料でやりとりでき、LINE一強に対抗するメッセージサービスとして、LINEだけに依存しない世界が実現できるはずです。

今後の通信キャリア各社の動向を、引き続き注目していきたいと思います。

それでは今回はこの辺で。

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