米国で広がる「移動の未来」ロボタクシーとは
- 北島コウ

- 10月7日
- 読了時間: 7分
更新日:10月23日
皆さん、こんにちは。
先日、ニュースでバス運転士の人手不足を原因の一つとして、都営バスが減便することを報じていました。
また、地方では公共交通機関が少ないこともあり、高齢になっても生活の必要から運転しないわけにいかず、そのためにブレーキとアクセルの踏み間違いなどによる事故のニュースも後を絶ちません。
そんな中、あるTV番組でiPS細胞の研究でノーベル賞を受賞された京都大学の山中伸弥教授が、「毎月、米国サンフランシスコで1週間ぐらい過ごしているが、自動運転タクシーが町をうようよ走っている。最初は怖くて乗れなかったが、今年になってからは自動運転タクシーにしか乗っていない。慣れちゃうとそっちのほうが安全なんです。」と話しておられました。
そこで、米国の自動運転タクシー、英語でロボタクシー(Robo-Taxi)とはどんなものなのか、なぜ日本では実現しないのかについて、少し調べてみました。
私自身が自動運転タクシーに乗ったわけでもなく、新聞やインターネット、YouTube等から得た情報ですが、これからの日本における技術革新について、いろいろ考えさせられましたので、今日はこれについて紹介したいと思います。

ロボタクシーサービスの運営状況
ロボタクシーは、Googleの親会社であるアルファベット(Alphabet)傘下のウェイモ(Waymo)が主に運営しており、現在5都市、アリゾナ州フェニックス、カリフォルニア州のサンフランシスコとロサンゼルス、テキサス州オースチン、ジョージア州アトランタで完全無人の自動運転タクシーサービスを展開しています。
初めてフェニックスでサービス開始したのが2020年10月なので、もう5年が経つことになります。
今年3月からはオースチンで、6月からはアトランタでのサービスが開始され、さらにワシントンD.C.やマイアミでも展開が予定されているようです。
◇YouTube「アメリカで急速拡大の「自動運転タクシー」の“裏側”に潜入」TBS News DIG(2025/3/25)
サンフランシスコでは、現在800台程度のロボタクシーが運行しており、スマホアプリで配車手配でき、運転席が全く無人の状態で、公道を普通の速度で、交通の流れに沿って走っています。
一般の人がウェイモのロボタクシーに乗ってみたYouTube動画を見ると、車線が詰まっていても、タイミングを見て上手に車線変更して運転しています。
間違いなく私より運転は上手ですね。笑
料金は、日本のような認可制ではないため、需給バランスによって変動するダイナミックプライシングになっているそうですが、運転手がいないのでチップが不要というのは、チップの慣習に慣れない私などからすると、とてもいいですね!
日本でも、雨の日や深夜、あるいは鉄道事故などの際、タクシーがなかなか捕まらずに困ることがありますが、ロボタクシーなら勤務時間や天候などに関係なく、24時間フル稼働できます。
都営バスの減便に象徴されるドライバー不足などのいわゆる2024年問題に悩む日本からすれば、私はこういったサービスが日本でも1日も早く実現してほしいと思いますが、いかがでしょうか?

ロボタクシーの安全性は?
気になる安全性はどうなのでしょうか?
実はロボタクシーでは、ウェイモ以外にゼネラルモーターズ(GM)傘下のクルーズ(Cruise)という事業者もサービス展開していますが、2023年10月にサンフランシスコで人身事故を起こし、クルーズ社の事故後の対応が悪かったこともあり、運行許可の停止処分を受け、事業を大幅に縮小しています。
この事故は、人間が運転する別の車にはねられた女性がクルーズのロボタクシーの前に投げ出され、路肩に寄せようと女性を引きずったまま約6m走行したため、女性が重傷を負ったというものだそうです。
女性は一命をとりとめ、GMとの間で示談が成立して解決したようです。
一方、ウェイモでは重傷以上の重大な人身事故は発生しておらず、事故率は人間が運転するよりもむしろ低く、エアバッグが動作する事故は2割以下に減少したということです。
ロボタクシーはもちろんAIを搭載し、道路や交通の状況を学習しながら運転技能をアップデートしていきます。
全く事故ゼロというわけにはいかないでしょうが、いわゆるヒヤリハット的な状況を学習することで、安全性もアップデートされていくことに期待したいです。

日本での実現は?
すでに5年前から商用化され、エリアも拡大している米国に対し、日本ではどうなのでしょうか。
日本は米国に比べ、交通に限らず様々な法規制が厳しいことがイノベーションの障壁になっていると、かねてから指摘されてきました。
そこで、「スマートシティ」や「スーパーシティ」といった政策で、特定の都市を「国家戦略特区」と位置付けて規制緩和を行い、技術開発を進めようとする取り組みが、すでに2000年代初頭から行われてきました。
その中には自動運転に関するものも多数含まれており、茨城県つくば市や東京の羽田イノベーションシティなどで自動運転の実証実験が行われてきています。
これらの取り組みは成果を出しているのでしょうか?
日本で初めてレベル4自動運転(ウェイモのように人間が全く介在せず、システムだけで運転する方式)の認可を取得して実験的な運行を行っているのが福井県永平寺町で、2023年5月より、約2kmの特定ルートをヤマハ製のゴルフカートで、時速12km以下のスピードで運行するというものです。
ロボタクシーとの余りの落差、そして「戦略特区」での取り組みにも関わらずまだこれなのかと、ショックを受けますね。
なぜ日本ではウェイモのようなサービスが実現できないのか、理由はいろいろあるようですが、法規制が厳しいことに加え、米国に比べて道幅が狭いとか、信号や標識も複雑といった要因もあるようです。
また多くの日本人は安全面に対して極度に敏感で、自動運転への懐疑心が高いことが実現を慎重にしている面も否定できないのではないでしょうか。
自動運転には非常に高度な制御技術が必要ですが、その点で日本メーカーの技術力が劣っているとは思いたくありません。
折しも9月25日より、トヨタ自動車が静岡県裾野市に、「ウーブン・シティ」を開業しました。
約71万平方メートルの広大な土地に都市を建設し、様々な次世代技術を検証することとなっており、当初は約360名、将来的には2,000名を超える住民が住むそうです。
「都市」と言っても、実際には都市の形をした「テストコース」という位置づけであり、「私有地」です。
なので、道路交通法などの法規制に縛られず実験的取り組みが可能となり、レベル4自動運転についても当然そのスコープに入っています。
◇日本経済新聞「自動運転実証へ街づくり」(2025/9/21)※全文を読むには会員登録が必要です。
ぜひ日本を代表する世界的自動車メーカーの技術力で、日本のモビリティ課題を解決する自動運転サービスを実現してもらいたいです。
米ウェイモは、タクシー大手の日本交通および配車アプリのGOと提携して、日本でのロボタクシー開始に向け、今年4月より都内で、有人ドライバーによるデータ収集走行を開始しました。
これにより、2028年ごろから限定的エリアでの体験走行を行い、2030年ごろに米国のロボタクシーのような商用サービスを段階的に開始していくといった見通しのようです。
◇ウェイモ日本版のホームページ
それはそれでワクワクしますが、できれば国産サービスとして実現して欲しいですよね。
私はアーノルド・シュワルツネッガー主演のSF映画「トータル・リコール」(1990年)が好きなんですが、これには自動運転タクシー「ジョニー・キャブ」が登場します。

日本で実現するロボタクシーの運転席は無人ではなく、ぜひ「ジョニー・キャブ」のようなロボット運転手(生成AI機能搭載)が乗っていて、お客さんが会話も楽しめる(もちろん多言語対応)ぐらいの遊び心を実現してくれないかな、と思っています。
それでは今回はこの辺で。
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