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AIエージェントの現在地

皆さん、こんにちは。

先週、日経クロステックNEXT東京2025という展示会を見てきましたので、今日はその中で印象に残ったものをお伝えしたいと思います。

 

◇日経クロステックNEXT東京2025(於・東京国際フォーラム)

日経クロステックNEXT東京2025のホームページより
日経クロステックNEXT東京2025のホームページより

展示会見学の目的は「AIエージェントの現在地」を知る

かつて日経コミュニケーションとか日経コンピュータといった紙媒体の雑誌があり、私も通信事業者に勤務する関係からよく読んでいましたが、こうした雑誌はすでに廃刊となり、日経クロステックというWebメディアに集約されていて、私は年間購読料を払って購読しています。

その日経クロテックが主催する展示会を見にいった目的は、「AIエージェントの現在地」を知ること。

AIエージェントについては、以前にこのニュースレターでも紹介しています。

 

◇過去の記事「AIエージェントからエンボディドAIへ、これからの進化の行方」(2025/4/16)

 

ChatGPTなどの生成AIは言葉や画像、音楽などを生成することが主たるアウトプットでしたが、AIエージェントでは、AIが自律的に、例えばWebサイトを検索したり、ファイルを操作したりするような「デジタル空間上での能動的な行動」が可能になり、こういった機能が今年から具体的に利用され始めているとのことです。

こうしたAIエージェントの利用がどの程度進んでいるのか知りたいというのが、見学に行った主な目的でした。

盛況だったセミナーの様子
セミナーはどこも盛況でした

企業におけるAIエージェント導入の実情

日経BP社AIデータラボ所長の中田敦氏によると、生成AIの活用については、大手企業でおよそ9割に達しているのに対し、AIエージェントについてはまだ5割程度、中小企業では2割程度以下に留まっているとのことです。

上のニュースレター記事でも書いていますが、AIエージェントは顧客対応や営業、コーポレート業務など様々な分野で活用できますが、AIが自律的・能動的に行動するとなると、万一誤った行動をしてしまうと、その影響は甚大なものになります。

なので、専門的知見を有するベンダーの協力を得ながら、慎重に設計やテストを行いつつ導入を進めているというのが実態のようです。

例えばカスタマーサービスのソリューションを提供するZendeskのセミナーを聴講しましたが、同社は顧客からの電話問合せを受け付けるコールセンターのサービスにAIを活用しています。

 

◇Zendesk

 

コールセンター業務では以前からチャットボットなどが使われてきましたが、いまいち対応力が弱く、顧客満足度が高くないことが課題でした。

最近ではRAG(検索拡張生成)といって、AIが社内の独自データをもとに学習する仕組みが確立されてきているため、社内の対応スクリプトやマニュアル、FAQなどによって対応力を高め、CX(顧客体験価値)の高度化を図るようなソリューションを提供するべく、伴走支援しているという説明でした。

こうした専門ベンダーの協力を得ながら、少しずつAIエージェントは広がりを見せつつあるのだと理解しました。

AIを支えるデータ基盤のイメージ写真

やがて中小企業にも広がるAIエージェント時代に備えるために

このようにAIエージェントは現時点では大手企業で一品づくり的に広がりつつある状況ですが、それはいずれ汎用化され、遠からず中小企業にも確実に流れがやってくると思います。

そのとき乗り遅れないために、今から取り組むべきことは何でしょうか?

データ基盤整備やデータ活用を提供するフライウィールのセミナーも聴講しましたが、「AI Ready」なデータ基盤を構築しておくことが鍵であると強調されていました。

 

◇フライウィール

 

例えば、上で述べたRAG機能を使って、社内のデータや情報をもとにAIエージェントに何かをさせようとしても、その社内のデータや情報が、AIが理解して利用できるものになっていなければ使いようがありません。

データが正しく定義され、整合が取れており、構造化され、十分な量があり、誤りや偏りがなく、またそれが継続的に整備・改善されていることが必要です。

中小企業様においては、まずしっかりペーパーレス化を進め、社内の数字や情報をデジタルデータ化して、Microsoft SharePointやGoogle Cloudなどのクラウド基盤に整理・格納して、各種システムやAIと連携できる土台を作っておくことが第一であると言えるでしょう。

怒涛の勢いで広がるAI活用の波に乗り遅れてしまうと、致命傷になりかねません。

中小企業経営者の皆様には、この大きな社会の変動を理解し、それに対応できる社内の基盤づくりを着実に進めていただきたいと思います。

AIエージェントが自律的に動作するイメージ写真

DXの主要手段こそAI

ソフトバンク法人統括部門アプリ開発部のミニセミナーでは、法人顧客向けのシステム開発において、コーディングはもちろん、要件定義やシステム設計、デザインまでもAI機能を活用することで、大幅な期間短縮と効率化を実現できたと説明していました。

上のフライウィールのセミナーでも、冒頭のアイスブレイクで、米国ではAIによるシステム開発が一般化・定着化し、Webエンジニア等の就職難が深刻化しているといったエピソードも紹介されていました。

AIの普及によって、とりわけシステム開発においては革命的な変化が起こる、いやすでに起こっているのが実情かもしれません。

日経クロステックの人気コーナー「極言暴論!」でおなじみの編集委員木村岳史氏のセミナーでは、場当たり的な対応に終始し、抜本的な変革に手を付けることを怠ってきたことによりこれまでのDXは失敗に終わったと総括し、「DXブームはもう終わり、これからはAIだ」と言っている愚か者に喝!として、DXの主要手段がAIであることを正しく理解すべきであると強調していました。

そして、今度こそDX革命第二幕としてのAI革命で巻き返していくためには、現場丸投げでない、経営者のリーダーシップが不可欠であると結論づけていました。

まさにこの節目で、経営の変革に手を付けていけるかどうかが、今後の進路に大きく影響するものと思います。

ぜひ「社外DX担当部長」にご相談いただき、業務変革の第一歩を踏み出していただきたいと思います。

それでは今回はこの辺で。

宜しくお願い致します。

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