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執筆者の写真北島コウ

補助金等の電子申請における代理機能

皆さん、こんにちは。

最近、補助金申請のための事業計画書作成や申請のご支援などの仕事をお任せいただくことが少しずつ増えてきました。

お客様が、例えば新規サービスへの進出や販路拡大などを行うべく、新しい設備等を導入するに当たって、その投資資金の一部に事業再構築補助金とか小規模事業者持続化補助金などの制度を活用するといったケースです。

私は企業での長年の経験から、事業計画書や新サービスの企画書等の作成は大得意なので、行政書士資格と併せてこうしたご支援の業務を拡大していきたいと考えています。

ところが、これら補助金の公募要領を見ると、代理人による申請を厳しく制限することが記載されています。

行政書士は、行政書士法により、行政手続きを有償で受託して代行することが認められているはずなのに・・・。

今日は、この点について解説したいと思います。


補助金活用のイメージ写真

補助金公募要領では不正防止のため代理人申請を厳しく制限

例えば、事業再構築補助金の公募要領には、次のように書かれています。

検討やブラッシュアップのために認定経営革新等支援機関を含む外部機関の助言を受けることは差し支えございませんが、必ず申請者自身で作成してください。作成自体を外部機関が行うことは認められません。

また、事務局からの案内によると、電子申請のアクセス解析を行い、同一のパソコンから複数の申請を行っているケースを把握して、個別に事情を聞く、といった追跡調査まで実際に行っているとされています。

確かに、コロナ禍を契機として増えた各種補助金・助成金を狙った不正受給などがニュースになってもいますので、国民の税金を無駄にしないよう、不正行為を厳しく監視・抑制することは必要だと思います。

一方で、私が実際にやってみて思うには、新規事業や新サービスの構想はあっても、それを計画書というドキュメントに書き起こすのが困難な方は多数いらっしゃいます。

ましてや補助金には審査があり、採択されて初めて交付されますから、採択されるような事業計画書を作るには、コツやノウハウが必要です。

申請自体も、いまは電子申請が主流で一定のスキルが必要なため、システム入力等を代行して欲しいと依頼されるケースも多いです。

これは、前述のとおり行政書士法第1条の2において、行政書士に認められた法定業務そのものであると理解しています。

行政書士法 第1条の2 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。

企画書作成のイメージ写真

行政書士が代理申請を行うことは問題ない

では、各補助金の公募要領が代理申請を厳しく制限していることは、どう理解すれば良いのか。

これについて、日本行政書士連合会より、次のような通達文書が発出されていることを知りました。

これは、私が以前から参考にさせていただいていた千葉県佐倉市で開業されているさくらい行政書士事務所様のブログで紹介されていて知ったのですが、東京都行政書士会が発行する広報誌「行政書士とうきょう」2024年3月号にも、掲載されていました。


日本行政書士連合会から発出された文書
日本行政書士連合会から発出された文書

この文書によれば、「これらの申請は近年頻発している不適切な申請を抑止する目的から『あくまで本人による申請が前提』であり、他者の名義での申請は認められていませんが、申請者の本人名義での申請を行政書士が有償で代行することは差し支えないことを確認いたしましたので、お知らせいたします」とされており、行政書士として補助金申請の代理を行うことは問題ないことが明記されています。

これにより、行政書士が申請者からの委任に基づき、申請資料の作成や申請行為を代理することは問題ないことが裏付けられたと言えると思います。

こういった内容をもっと広報・周知していかないと、公募要領だけを読んで、他人には頼めないんだと悶々と一人で悩んでいる申請者の方もいらっしゃるかもしれませんね。

もちろん代理申請が可能だと言っても、実際に事業を行うのは申請者自身であり、代理申請する内容は申請者の意思に基づき、申請者自身が実行可能なものでなければならないことは言うまでもありません。

代理人に丸投げし、できもしない内容を申請することはあってはならないし、そんな申請が仮に採択されたとしても、その後の実施報告などでボロが出て、返還を命じられることになりかねません。

私自身も、申請支援業務の実施に当たっては、お客様からのヒアリングを繰り返し、お客様の意思に基づく内容として計画策定するとともに、できあがった内容を必ずお客様に見ていただき、その内容通りに実施することを確認いただいています。


パソコンで電子申請するイメージ写真

電子申請における代理機能の制限

ただ、行政書士が代理申請することが問題ないとお墨付きを得られたといっても、実際の電子申請における代理機能の仕組みが対応できていません。

行政サービスの電子申請には、デジタル庁が所管するgBizIDを使うものが多く、これには委任機能の仕組みも実装されているのですが、利用する行政サービス側で委任機能に対応していないものがほとんどとなっています。

 

◇gBizIDが利用できる行政サービス一覧 ⇒ 委任対応しているものがめちゃくちゃ少ないことが分かります

 

私自身もgBizIDのアカウントを持っていますが、委任機能が対応いなければ、私自身のアカウントを使って代理申請することはできません。

委任対応していない申請を代理するには、申請者のgBizIDやパスワードをお借りせざるを得ないということになります。

セキュリティ的に問題のあるやり方で、本来はあり得ないですよね。

国民の行政手続きをサポートするため、法的に認められた行政書士の代理機能を、システムの都合で制限していることになるのではないでしょうか。

イケてないにもほどがありますね!

国全体としてデジタル化を推進していこうとしている中にあって、逆にデジタル化によって国民が不利益を被ることにならないよう、法的に認められた行政書士の仕組みを適切に利用できるようにしてもらいたいです。

こういった点は、行政書士政治連盟といったロビー団体も擁しているのですから、政策面からも早く対応してもらいたいところです。

それでは今回はこの辺で。

宜しくお願い致します。

 

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