皆さん、こんにちは。
表計算やワープロ機能、プレゼン資料作成などのいわゆるオフィスソフトウェアにおいて、Microsoft365、昔で言えばMicrosoft Officeシリーズ(Excel、Word、PowerPointなど)は、圧倒的なシェアを占めていると言えます。
キーマンズネットが2023年2月に行ったアンケート調査では、パッケージ型のMicrosoft Officeシリーズを含めたシェアは81%に達するという結果になり、Google WorkSpace(Microsoft365との併用含む)の16%を大きく引き離しています。
◇参考「Microsoft 365とGoogle Workspaceの利用状況(2023年)」(2023/2/16)
私も現在、正規ライセンス料を支払ってMicrosoft365 Business Standardを利用しています。
高いとは思っていますが、Google WorkSpaceやキングソフトのWPS Officeなど、無料で利用できるオフィスソフトも使ってみたものの、やっぱり機能面などでM365に勝るものはない(長年使い慣れているということもあるでしょうが)というのが、私の率直な感想です。
またこれだけシェアが高いと、会社間の資料のやり取りなどの際、互換性の観点からもM365にならざるを得ないでしょう。
このニュースレターでは、これまでもたびたびMicrosoftのアプリケーションについて取り上げてきました。
◇Microsoft Power Automate for Desktopを利用した自動化について(2023/10/3)
◇Microsoft Copilot for M365について(2024/3/11)
最近も様々な動向がニュースになっていますので、今日はこうしたMicrosoftの動きについて解説したいと思います。
90~2000年代を席巻したウィンテル連合
80年代以降、パーソナルコンピュータ、いわゆるパソコンが普及し始め、IntelのCPUと、MS-DOS(エムエス・ドス)というOS(オペレーティング・システム)上で動くパソコンが、世界の主流となりました。
MSは当然Microsoftのことです。
ビル・ゲイツさんがガレージから始めたビジネスが、世界のコンピュータにおけるデファクト・スタンダードになるという、まさにアメリカン・ドリームの一つの典型例になっているかと思います。
90年代に入ってWindowsが登場し、GUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)を備えたOSとして、世界中で圧倒的シェアを持つに至りました。
この頃すでに、スティーブ・ジョブズさんのマッキントッシュとか、(もう知っている人はほとんどいないと思いますが)IBMのOS2とか、GUIベースのパソコンOSは他にもありましたが、Intel+Microsoftの組み合わせは「ウィンテル連合」と言われ、たしか世界で9割を超えるシェアを取っていたかと思います。
Windows95発売の際に、パッケージを販売する家電量販店の店頭に大行列ができてニュースになったり、Intelの「インテル、入ってる?」というTVコマーシャルが流行ったりしたのも、たしかこの頃でした。
その後、2000年代後半にスマートフォンが登場。
モバイルブロードバンドが爆発的な広がりを見せると、ウィンテル連合の勢いは翳りを見せ、Microsoftの業績も落ち込むことになります。
業態を変えてしぶとく復活
しかし私が、Microsoftがすごいと思うのは、ここから業態を変え、パソコンOSだけに頼らない、ソリューション・インテグレータとしての側面やプラットフォーマーとしての側面を強化し、しぶとく復活してきていることです。
私たちが日常的に使っているクラウドサービス(YouTubeやInstagramなども全てクラウドサービスとして提供されています)は、インターネット上のプラットフォーム(仮想サーバによる基盤)に構築されていますが、そのプラットフォームのシェアでは、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)が32%、MicrosoftのAzure(アジュール)が23%、GCP(Googleグラウド・プラットフォーム)が10%と、実はここでもMicrosoftが存在感を示しています(カナリス社調べ、2023年2月)。
そのしぶとさの根源になっているのは、M365に代表されるように、企業ユースをしっかり押さえていることにあるんじゃないかと、私は見ています。
AI時代を迎えたMicrosoftの動き
そしていまMicrosoftは、ChatGPTの開発元Open AIに巨額出資することで、その機能をM365を始めとするMicrosoft製品に全面的に取り入れ、Microsoft Copilotシリーズとして、いわば「AIプラットフォーマー」と言うべき戦略を打ち出しています。
生成AIがこれからの時代のキーテクノロジーと見て、勝負に出たということでしょう。
GoogleもBard改め、Gemini(ジェミニ)という生成AI機能を打ち出すなど、さながら生成AI戦争が始まっていますが、セキュリティ面などを気にする企業ユースに応えてCopilotを企業内だけで閉域的に利用できるようにするなど、M365の高いシェアを背景にした戦略では一歩リードしていると感じます。
先々週には、日本で29億ドル(約4400億円)規模の投資を行い、AI・クラウド基盤となるデータセンターの増強を行うと発表しました。
◇NHK「マイクロソフト 日本事業に約4400億円投資へ 生成AI需要拡大で」(2024/4/10)
Microsoftから出資を受けるOpenAI社も、先週、東京に新たな拠点を設立すると発表しています。
空前の円安ということもあるでしょうが、日本に投資してくれることは国内景気にも寄与すると言え、有難いことではないでしょうか。
ただ、この4月からも為替レートへの連動という理由で約20%値上げとなり、毎年のように値上げしているライセンス費については、ちょっと何とかしてもらいたいですね。
今月に入ってからは、M365からコミュニケーションツールTeamsを切り離すことも発表しました。
欧州でデジタル市場法(DMA)が発効し、ハンドル販売によって独禁法に抵触することを回避する意味合いとのことです。
◇キーマンズネット「MicrosoftがTeamsを365製品から分離 日本での価格と注意点は?」(2024/4/2)
いまやソフトウェアの老舗企業Microsoft
M365のサブスクリプションからTeamsが切り離され、単体のライセンスとして販売されるわけですが、上の記事によると、Teamsありのライセンスとなしのライセンスとを選択できるようです。
巨大IT各社の中でも80年代から形を変えつつ存在感を発揮し続け、いまやソフトウェアの老舗企業とも言えるMicrosoftの動きに、今後も注目したいと思います。
それでは今回はこの辺で。
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