JAPANローミングとは?無料で使える非常時通信の仕組みと注意点を解説
- 北島コウ

- 23 時間前
- 読了時間: 6分
2026年4月から始まる「JAPANローミング」は、大規模な通信障害や災害時でもスマートフォンの通信を確保するための新しい仕組みです。普段は意識することのない通信インフラですが、いざという時に命や社会活動を支える重要な役割を担っています。本記事では、その仕組みと背景、そして実際に使われる際のポイントを分かりやすく解説します。
皆さん、こんにちは。
明日4月1日より、大手携帯電話事業者4社(NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンク、楽天モバイル)により、「JAPANローミング」というサービスが開始されるのをご存じでしょうか?
今日は、この「JAPANローミング」について紹介したいと思います。

JAPANローミングとは?通信障害・災害に備えた新しい仕組み
この件については、実は3年前、このニュースレターを発行し始めて間もない、第5回の記事で書いていました。
◇過去の記事「通信サービス障害への備えは?」(2023/4/3)
その前年の7月にKDDI(au)で、2日半以上に渡って延べ3,000万人に影響を及ぼす大障害が発生し、社会に大きな影響を及ぼしました。
生命にかかわる警察や消防への緊急通信ができないだけでなく、いまや通信ネットワークは私たちの社会の重要基盤となっており、キャッシュレス決済もできないとか、通信ネットワークで制御している各種システムも停止してしまうという大混乱を引き起こしてしまいました。
もちろん各通信事業者はこうした障害を発生させないよう、多くの人員や多額のコストをかけて、24時間365日止まらないネットワークを保全し運用していますが、何事にも100%はあり得ません。
不測の事態によって、確率は少ないにせよ、こうした障害はKDDI以外の通信事業者でも多かれ少なかれ発生しているのが実情です。
また日本は地震などの自然災害も多く、こうした際にも通信障害は発生します。
そこで、こうした大規模障害/災害が発生した場合に備えて、他の通信事業者のネットワークに迂回して救済するローミング方式による対策が検討されてきました。
それから3年を経て、今回実現したのが「JAPANローミング」という仕組みです。
この仕組みが実現するまでの間、暫定的な対策として、「副回線サービス」が提供されてきたことを上の記事でも紹介していますが、今回を機に個人ユーザー向けの「副回線サービス」は終了となります。
◇ケータイWatch「KDDIとソフトバンク、一般向け『副回線サービス』を終了」(2026/2/12)
「副回線サービス」は、私のニュースレター記事で解説しているとおり、端末に2枚目のSIMカードを入れて切り替えて使うもので、平常時から月額基本料の負担が必要ですし、電話番号も変わってしまうため、あくまで緊急避難的な措置でした。
BCP(事業継続計画)の観点から、法人向けにはニーズがあるでしょうが、個人ユーザー向けとしては終了するのは妥当なことだと思います。

非常時にユーザー認証を省略する理由と仕組み
「JAPANローミング」の仕組みは、海外旅行に行った際に、外国の通信事業者のネットワークを使って電話ができる「海外ローミング」と、基本的には同じやり方です。
事前申込みなどは不要で、自分のスマートフォンで、モバイルネットワークの「ローミングネットワークの選択」を「自動」にしておけば、大規模障害/災害の発生時には、自動的に「JAPANローミング」に切り替わり、通信できるようになります。
料金は、非常事態ですので、当然ながら無料です。
「JAPANローミング」で接続している場合には、スマホのステータスバー(上部のアイコン表示部分)に「JPN-ROAM」といった表示が出て、「JAPANローミング」で接続していることが分かるようになるそうです。
しかしながら「海外ローミング」は昔からあるので、それと同じなら、なぜその実現に3年もかかったのか、疑問に思うでしょう。
「JAPANローミング」には、「海外ローミング」とは異なる点が幾つかあります。
一つは利用者の認証です。
「海外ローミング」では、ユーザーが外国で電話をかけると、海外側事業者から日本の通信事業者のデータベースにユーザーの契約情報を照会します。
そして契約状況が確認できると通信が可能になり、課金が開始されるという仕組みです。
しかしながら「JAPANローミング」は大規模障害/災害などの際に使いますので、ユーザー認証している暇はありませんし、被災した事業者のデータベースが破損して照会自体ができない恐れもあります。
そこで、総務省の審議会では、こうした非常時にはユーザー認証を省略して、とにかく通信を確保するやり方が定義されました。
その代わりに、「JAPANローミング」を発動するエリアは市町村単位で細かく設定して切り替えられるようになっています。

通信速度はなぜ制限される?300kbpsの意味と影響
もう一つ「JAPANローミング」が「海外ローミング」と異なる点は、通信量(トラフィック)の制御です。
海外ローミングは、利用ユーザーが限定的(海外渡航者など)ですので、通信量を意識する必要はありません。
しかし「JAPANローミング」は大規模障害/災害時に発動されますので、突然、一挙に何百万ものユーザーの通信が流れ込んでくる恐れがあり、下手をすると救済するネットワーク側がパンクしてしまうリスクがあります。
そこで「JAPANローミング」では、データ通信の速度を一律300キロビット毎秒に制限することとなりました。
通常、私たちが5Gや4G-LTEで通信している際は、エリア状況にもよりますが、だいたい数十メガビット毎秒ぐらいの速度で通信していますので、100分の1以下のスピードに制限されることになります。
ともかく多くの人に対して、最低限度の通信を確保することを優先するという考え方ですので、仕方ないでしょう。
なお「JAPANローミング」は、UQモバイルやY!モバイルといった大手通信事業者のサブブランドでも同様に使えます。
mineo(マイネオ)やイオンモバイルなどのMVNO(格安事業者)では、音声通話やSMSは使えるが、データ通信については使える場合と使えない場合がありますので、別途確認が必要です。
障害や災害の規模が大きい場合には、緊急通報のみに制限される場合もあるようです。
端末の世代や仕様によっては、切替え方法が異なる場合もありますので、下記の総務省および電気通信事業者協会のサイトの他、各通信事業者のホームページでご確認いただきたいと思います。
◇総務省「非常時事業者間ローミング」
◇一般社団法人 電気通信事業者協会「JAPANローミング™(非常時事業者間ローミング)について」
今年は東日本大震災から15年目に当たり、災害への備えについて改めて考える機会が増えていますが、こうしたタイミングで「JAPANローミング」の仕組みが整備できて良かったと思います。
通信エンジニアの好奇心としては、「JPN-ROAM」と表示されて通信するところを見てみたい気もしますが、それが見られるのは大規模障害/災害が起きたときだけ。
見ないで済むことを願うべきなのでしょうね。
では、今回はこの辺で。
宜しくお願い致します。
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