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執筆者の写真北島コウ

においを伝送する技術

皆さん、こんにちは。

最近、においを伝送する技術の最新動向について知る機会がありましたので、今日はこのことについて紹介したいと思います。

アロマディフューザーのイメージ写真

30年前の新入社員が言っていたこと

においの伝送については、昔から少し心に引っかかっていました。

もう30年ぐらい前ですが、ある新規事業を立ち上げるための新設部署に異動した際、自分がやりたいビジネスの夢を語り合う場を持ったことがあり、新入社員でその部署に配属されたメンバーが、「においを通信で送れるようなことができたら面白い」というようなことを言っていたのです。

そのときは「面白いこと言うやつだなー」ぐらいで終わったのですが、それ以来ずっと頭の中に残っていました。

考えてみれば、映像や音声を伝送することはもはや簡単にできていますが、これとて実は、受信者が元の映像や音声そのものを見たり聞いたりしているわけではなく、送信側で撮影または録音した映像や音声をデータ化して伝送し、受信側のモニターやスピーカーで再現されたものを見たり聞いたりしているわけです。

ですから、においも同じように、元のにおいを何らかの方法で収録してデータ化し、受信側でそれを再現できる、いわば「においスピーカー」のような再現装置があれば伝送できることになります。

こうした技術は、これまでも様々な研究機関等で開発が進められており、ときどきそういったニュースを目にしては、30年前の新入社員君の発言を思い出していました。

スマートフォンで動画などを見ている女性のイメージ写真
映像や音声もスマートフォンなどのデバイスによって再現されたものを視聴しています

においを伝送する技術の最新動向

ところで私は、日曜日の朝にTBSで放送されている「がっちりマンデー」をいつも楽しみに見ているのですが、先日9月15日の放送で、「儲かる!におい」と題して、においに関連するビジネスを紹介していました。

なんでも、においは画に撮ることができないため、テレビで伝えづらいことから、これまでは取り上げてこなかったところ、最近の「においビジネス」が盛り上がっているということで、取り上げることにしたのだとか。

 

◇TBSがっちりマンデー 過去の放送内容「儲かる!におい」(2024/9/15)

 

この中で、大阪大学初のベンチャー企業である株式会社香味発酵という会社の研究成果が紹介されていました。

それによると、人間の鼻には約400種類のにおいを感じるセンサーがあり、このセンサーのどれとどれが反応するかによって、感じるにおいが決まるのだそうです。

そして40~50種類の基本のにおいの組み合わせによって、あらゆるにおいを再現することができるというのです。

また基本のにおいのカートリッジを装備して、その組み合わせによってにおいを発生させる「においスピーカー」に相当する再現装置、デジタルディフューザーもすでに開発されています。

がっちりマンデーのテレビ画面
TBSがっちりマンデーの放送から(右がデジタルディフューザー)

ちょうどインクジェットプリンターが4~6色程度のカートリッジで、ほぼ無限の色を再現して画像を印刷できるように、基本のにおいのカートリッジによって、においを再現できるということです。

送信側で、「人工の鼻」によってにおいを収録してデータ化し、そのデータを伝送した上で、受信側でデジタルディフューザーを使って再現すれば、まさに映像や音声と同じ、においの伝送が可能になります。

類似の研究開発が様々な機関で進められてきたことは以前から見聞きしていましたが、かなり精度と実用性が高まってきたように思います。

こうした技術により単に伝送するというだけでなく、例えばVR(バーチャル・リアリティ)へ活用すると、映像や音だけでなく、においも加わることで、よりリアルさが向上するでしょう。

番組内でも、映画などのエンターテイメントへの活用例が紹介され、「嗅覚は脳の記憶にまつわる部分に直接訴えかけるので、没入感や臨場感を高める」と説明されていました。

エッセンシャルオイルのイメージ写真

いずれはリアルタイムな香りの調合も可能に

先日、あるオンライン異業種交流会に参加した際、エッセンシャルオイルスタイリストという方とお話しする機会がありました。

自身の体調不良に悩んでおられた際に、エッセンシャルオイル(植物から抽出した香り成分)を使ったアロマテラピーで改善効果が得られたことから、オンラインでエッセンシャルオイルの効能について学んだり、実践したりするレッスンを開講しておられるそうです。

いまはサンプルのオイルを事前に郵送してオンラインレッスンを行っていらっしゃるようですが、もしエッセンシャルオイルのような微妙な香りもデジタルディフューザーで再現できる性能が実現できるなら、いずれはにおい伝送技術を使って、例えばその場でリアルタイムに好みの香りを調合したりするようなレッスンも行える時代が来るのかもしれません。

ただ、天然のエッセンシャルオイルにこだわる自然派の方にとっては、香りもデジタル化することに抵抗があるかもしれませんけどね。

いずれにせよ30年前に新入社員君が言っていたことがいよいよ実現されるとともに、それがビジネスとして具現化される日も近づいていると感じました。

それでは今回はこの辺で。

宜しくお願い致します。

 

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