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執筆者の写真北島コウ

フリーランス新法について

皆さん、こんにちは。

フリーランス新法って、ご存じですか?

私は地下鉄の車内ビジョン広告で知り、調べてみましたので、今日はこのフリーランス新法についてお知らせしたいと思います。


フリーランス新法に関する公正取引委員会の特設サイトの画像
フリーランス新法に関する公正取引委員会の特設サイトから(地下鉄の車内ビジョンでもこのBUSON氏のイラストの広告が流れていました)

フリーランス新法とは

いわゆるフリーランス新法は、正式名を「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」と言い、2023年4月28日に国会で可決成立し、今年11月1日より施行予定です(以下、この記事では「新法」と呼ぶことにします)。

◇フリーランス新法に関する公正取引委員会の特設サイト

組織に所属せず、個人で働くフリーランスの労働環境を保護することを目的としています。

ということは、私もフリーランスなのか?

新法の条文上では、「フリーランス」という言い方はせず、「特定受託事業者」と言います。

「特定受託事業者」の定義は、業務委託を受ける相手方で、従業員を雇わない者、つまり個人事業主または一人会社とされています(第二条第一項)。

業種は問わないようですので、個人事業主として士業を営む私も、企業等から業務を受託すれば、「特定受託事業者」ということになります。

フリーランスが企業などから業務委託を受けるに当たっては、その立場ゆえに不利な扱いを受けることも多いです。

私が見た車内ビジョン広告でも、電話一本で「デザインをお願いします。納期は2ヶ月かな、いや1ヶ月で。報酬は10万かな、やっぱり11万にしよう。」などと仕事を依頼する発注者に対して、「口頭だけで依頼されがち。書面でください!」と訴えるフリーランスが、イラストレーターBUSON氏のアニメで描かれていました(曖昧な記憶なので、正確ではありませんが)。

長く企業でサラリーマンをやってきた私からすれば、契約内容を書面で取り交わすことはお互いのトラブルを防ぐ意味でも当然のことと思っていますが、フリーランスの方との取引では、こういった口頭での発注が商慣習になっていることが多いのでしょう。

そして、言った言わないみたいな話になると、結局立場の弱いフリーランス側が泣かされることになり、そういったことが今回の法整備につながったのかと思います。


自宅のテーブルで仕事をするフリーランスのイメージ写真

フリーランス保護の規定内容

新法では、フリーランスに対して発注する業務委託者側に規制が課されるわけですが、この委託者側も「業務委託事業者」と「特定業務委託事業者」に分かれます(第二条第五項~第六項)。

「特定業務委託事業者」とは、「業務委託事業者」のうち従業員を雇用する者のこと、つまり「特定」でない「業務委託事業者」とは発注者側もフリーランスである場合ということになります。

フリーランスからフリーランスへの発注の場合、発注者側のフリーランスも新法に基づく規制の対象になりますので、この点、注意が必要ですね。

新法では、概ね次のような内容が、「特定受託事業者」(=フリーランス)に業務を委託するに当たり、委託者側に義務付けられます。

  • 業務委託事業者は、特定受託事業者に業務を委託する際、契約の条件を書面またはメール等で明示しなければなりません(第三条)。

  • 特定業務委託事業者(=従業員を雇用する業務委託事業者)は、特定受託事業者から成果物を受領した後、60日以内にできる限り早く報酬を支払わなければなりません(第四条)。

  • 特定業務委託事業者は、例えば特定受託事業者側の責めに帰すべき事由がないのに成果物の受領を拒むとか、報酬額を減額するといった、特定受託事業者の利益を不当に害する行為をしてはなりません(第五条)。

  • 特定業務委託事業者は、クラウドソーシングサイトやSNS等で不特定多数の特定受託事業者を募集する際、虚偽表示や誤解を生むような表示をしてはなりません(第十二条)。

  • 特定業務委託事業者は、特定受託事業者の妊娠、出産や育児等に配慮すること、あるいはセクハラ、パワハラ等の相談に対する対応体制を整備するなど、労働環境の整備に努めなければなりません(第十三~十四条)。

被用者ではないため、労働基準法による保護を受けることができないフリーランスの立場を守る趣旨であることが見てとれます。

業務委託事業者が上のような規定に違反した場合、罰則を課されることになっています(特定業務委託事業者の場合には、違反した従業員だけでなく、法人も罰則対象となる)。


独立・起業のイメージ写真

多くの起業はフリーランスから始まる

諸外国に比べて起業数の少ない日本では、起業が奨励されています。

そして起業した場合、多くはフリーランスから出発することになると思われます。

フリーランスが活躍し、そのスキルや能力を活かすことで発注企業側の成果につながり、それによってフリーランスが業績を上げて従業員を雇用して企業へと発展する、そうしたWin-Winの形が作れれば、まさしく国の経済成長に大きく寄与すると言えるでしょう。

超高齢化が進む我が国において、私のように定年後に起業する「シニア起業者」も今後ますます増えるでしょう。

その知見・経験を活かすといった点でも、フリーランスとの適正な取引を規定する新法の意味合いは、重要だと思います。


相談窓口があることを示すイメージ写真

「他に頼むわ」と言われないための対策

ただ、今まで電話一本で依頼し、やりたいようにしてきた発注者にとって、新法を盾に、契約条件を書面でくれとか言われるのは、面倒臭いことかもしれません。

「そんなことを言うなら、他に頼むわ」と言われかねないリスクもあると思います。

基本的には、フリーランス側にも、簡単に他と取り換えのきかない自分ならではのスキルを身に付けることが重要かと思います。

また厚労省では第二東京弁護士会に委託する形で、「フリーランス・トラブル110番」というサイトを設けています。

 

 

発注者との取引関係に関する困りごとを無料で相談できる窓口です。

私もあることについて相談してみましたが、数日程度で弁護士の専門的見地から回答を返していただくことができました。

フリーランスとして自己のスキルを活かして事業を展開する皆様は、新法の施行、およびそれに関連したこうした仕組みをうまく使っていくことが重要ではないでしょうか。

それでは今回はこの辺で。

宜しくお願い致します。

 

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