皆さん、こんにちは。
前回の記事では、我が国全体として「デジタル人材」が大幅に不足しており、その育成が官民挙げての重要課題となっていることや、そもそも「デジタル人材」とはどういう能力を持つ人のことを言うのか、その定義についてお伝えしました。
◇前回の記事「デジタル人材とは何か」(2024/6/4)
そして、「デジタル人材」とはプログラミングができる人のことを言うのではないこと、「DX推進スキル」として定義されている人材の5類型について解説しました。
しかしながらただでさえ従業員確保に悩む中小企業に、こういった5類型の人材を確保することなんて、難しくて到底できないですよね。
今回は、中小企業のDXに必要なデジタル人材の確保や育成のあり方について、考えてみたいと思います。
中小企業におけるデジタル人材育成の要諦
改めて、前回説明した「DX推進スキル」の5類型について再掲します。
ビジネスアーキテクト ・・・ DXの目的を設定し、その実現に向けてプロセスを推進し、目的を実現する
デザイナー ・・・ ビジネスや顧客の視点を総合的にとらえ、サービスのデザインとプロセスとを策定する
データサイエンティスト ・・・ DX推進の基礎となるデータの収集・解析、およびその仕組みの設計、実装、運営を行う
ソフトウェアエンジニア ・・・ システムやソフトウェアの設計、実装、運営を行う
サイバーセキュリティ ・・・ デジタル環境におけるサイバーセキュリティのリスクを抑制する
私の考えでは、下の2つ、ソフトウェアエンジニアとサイバーセキュリティは、外注に頼っても良いと思います。
自前の人材でできるに越したことはないでしょうが、DXを進める方向性が、例えば新規事業を開始するのか、販売管理を強化するのか、内部システムを刷新するのかによっても、作り上げるシステムの設計や実装、リスク管理のポイントは様々であり、これら全てにオールマイティに対応できる人材を自前で育成するのは、大企業でも難しいでしょう。
必要に応じた専門のパートナーに依頼するのが得策だと思います。
問題は、前回も書きましたが、重要度の高い前者の3つ(ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト)です。
これらの役割を果たすことができる人材を、最低一人は社内で育て上げたいですね。
前回記事でも書いたとおり、まず社長自身がビジネスアーキテクトとしての基本的な素養だけでも身に付けていただきたいです。
デジタルやITに関する基礎知識を理解し、いま世の中がどう動いているのかを理解しつつ、自社が変革すべき方向性を指し示し、社員を導いていくのがビジネスアーキテクトたる社長の使命だと思います。
その社長のもとで、具体的なDX推進の実務を担う責任者、つまり「DX推進部長」を配置できるかどうかがポイントです。
社長は会社全体の責任者として、DXのことだけやってるわけにはいきませんので、おおまかな方針を指し示し、その方針を具体化・肉付けするのが「DX推進部長」の役割です。
「DX推進部長」には、ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティストの3つの役割を兼ね備えてもらう必要があります。
つまり、DX推進の根拠・裏付けとなる顧客やビジネスに関するデータの収集・分析を行い、社長の方針のもとでどのようなDXを行っていくのか、目標やビジョンを具体化・見える化し、サービスのデザインやプロセスを策定するのです。
これらの役割を一人が担うのは、大変ではありますが、できなくはないと思います。
「DX推進部長」が策定したビジョン、デザイン、プロセスをもとに、具体的なシステムを設計・実装する部分は、適切な外部パートナーに委託すれば良いと思います。
では、このような会社のDX推進のキーパーソンとなる「DX推進部長」をどのように育成していけば良いでしょうか。
「社外DX担当部長」を活用した育成
まず、今後「DX推進部長」として育てていきたい候補者を見つけ、白羽の矢を立てておく必要がありますね。
デジタルやITに関する基礎知識や興味・関心があり、会社のDXを自分が担っていこうという意欲や使命感のある、なるべく若手の人材がいると良いと思います。
社長自らが、その候補者に使命を与え、必要な研修などを受けさせたり、資格を取得させたりする必要があります。
とは言っても、それだけでその人が「DX推進部長」へと育つものではありません。
まずは信頼できる外部の有識者、実際にDXを推進してきた経験のあるDX推進スキルの保有者に、「社外DX担当部長」になってもらい、当面の間は会社のDX推進を担ってもらうとともに、その候補者の教育・育成も担当してもらうのが良いと思います。
私、デジタルビズ北島コウは、長年の通信事業者勤務を通じたスキルや管理職経験に基づき、「社外DX担当部長」として会社の当面のDX推進をお手伝いするとともに、会社の将来を担う「DX推進部長」候補者の教育・育成にも貢献することが可能です。
DXスキルは座学の勉強だけで学べるものではありません。
ビジネスをどのように変革していくかは、会社によって千差万別です。
「社外DX担当部長」が実際に会社に入り込んで、経営の実態や課題を深く理解し、課題解決の道を見つけ出して取り組んでいく。
それを候補者が間近で見ながら、「社外DX担当部長」を手伝って一緒に進めていく。
そういう泥臭い経験を積まなければ、実力ある「DX推進部長」は育たないでしょう。
このように会社としてDXを推進していこう、「デジタル人材」を育てていこうという方針を決めることこそ、社長の役割です。
旧態依然としたビジネスに囚われることなく、新たな変革にチャレンジしようという姿勢の会社には、人材が集まってきます。
ぜひ「社外DX担当部長」をうまく活用しながら、会社の将来を担う「デジタル人材」の育成に取り組んでいただきたいと思います。
それでは今回はこの辺で。
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