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デジタル人材とは何か

皆さん、こんにちは。

2週間ほど前の日経新聞記事によると、岸田首相は講演で、今後5年間で10万人の「高度デジタル人材」の育成を目指すと述べたとのことです。

 

◇日本経済新聞「首相『デジタル人材10万人育成』ASEANと アジアの未来、車の脱炭素で共同戦略」(2024/5/24)※全文を読むには無料会員登録が必要です。

 

今回は、この「デジタル人材」という言葉について考えてみたいと思います。


DX人材のニーズが高まっていることを示すイメージ写真

記事では、ASEAN(東南アジア諸国連合)のフォーラムにおいて、今後デジタル分野が経済成長のエンジンと位置づけられる中、それを支える人材が、日本では2030年時点でおよそ79万人不足すると推計されていることを背景に、ASEAN各国の官民が連携して人材育成を進めるものとされています。

このようにデジタル人材の不足とその育成に関する記事はこれまでもたびたび掲載されており、例えば今年4月8日の記事では、従来は新卒採用中心だった日本企業において中途採用比率が43%にまで伸びており、その要因としてはデジタル人材の不足により、内部人材の育成だけでは追いつかず、即戦力となる外部要員を確保する動きが急速に広がっていると報じられています。

 

◇日本経済新聞「中途採用5割迫る、24年度『新卒中心』転換点 日経調査」(2024/4/8)※全文を読むには無料会員登録が必要です。

 

また、昨年9月20日の記事では、中高年層を対象にデジタル分野のスキルを身に付ける「リスキリング」の制度を拡大する動きが官民で広がっており、やはりデジタル人材が大幅に不足している実情に対して、育成を進める取り組みが急務であるとされています。

 

◇日本経済新聞「中高年をデジタル人材に 厚労省、企業で長期インターン」(2023/9/20)※全文を読むには無料会員登録が必要です。

 

これらの記事を読んで、そもそも「デジタル人材」とは何か?、またかく言う私自身は「デジタル人材」なのか?、といった疑問が浮かびましたので、「デジタル人材」の定義について調べてみました。


ビジネス変革に取り組む社員たちを示すイメージ写真

経済産業省等が定める「デジタル人材」の定義

「デジタル人材」の定義については、経済産業省とIPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が共同で「デジタルスキル標準」を制定しており、これが「デジタル人材」の一つの基準となっているようです。

 

◇経済産業省「デジタルスキル標準」

 

これによると、「デジタル人材」のスキルは大きく二つの要素から成り立ち、「DXリテラシー」と「DX推進スキル」の二つを兼ね備えることとされています。

「DXリテラシー」とは、ザックリ言うとデジタルやITに関する技術、利活用、社会動向等についての知識、およびこれを積極的に活用していけるマインドを身に付けるということです。

「DX推進スキル」とは、DX(デジタル技術を使った変革)を具体的に推進していくために、これに必要な人材を類型化し、それぞれの役割や必要なスキルを定義しています。

類型は次の5つとされています。

  • ビジネスアーキテクト ・・・ DXの目的を設定し、その実現に向けてプロセスを推進し、目的を実現する

  • デザイナー ・・・ ビジネスや顧客の視点を総合的にとらえ、サービスのデザインとプロセスとを策定する

  • データサイエンティスト ・・・ DX推進の基礎となるデータの収集・解析、およびその仕組みの設計、実装、運営を行う

  • ソフトウェアエンジニア ・・・ システムやソフトウェアの設計、実装、運営を行う

  • サイバーセキュリティ ・・・ デジタル環境におけるサイバーセキュリティのリスクを抑制する

 

つまり、この定義に即して言えば、基礎となる「DXリテラシー」を身に付けた上で、「DX推進スキル」の5類型のうちの一つ、または幾つかの能力とマインドを有してその役割を推進していける人が、「デジタル人材」であると定義付けられるものと言えます。


経産省「デジタルスキル標準」において、「DX推進スキル」に定義する人材の5類型
経産省「デジタルスキル標準」において、「DX推進スキル」に定義する人材の5類型

「ビジネスアーキテクト」は経営者の役割

大切なことは、「デジタル人材」=プログラミングができる人ではないということです。

私の感覚では、DX推進においては、上に挙げた5類型のうち、特に上の3つ(ビジネスアーキテクト、デザイナー、データサイエンティスト)が重要です。

もちろん、ソフトウェアエンジニアやサイバーセキュリティがどうでもいいと言っているのではなく、実際のシステムの実現においてはソフトウェアエンジニアやサイバーセキュリティの役割は極めて重要ですが、その前にまず何のために、どのようにしてDXに取り組んでいくのか、目的やグランドデザイン、方向性を決めなければ話にならず、その観点で3類型の人材がとても重要であると言えます。

とりわけその中でも、ビジネスアーキテクトとは、社長の役割そのものと言っても過言ではありません。

日本のDXが進まない要因として、社長(経営者)にDXに対する理解がないという点が挙げられることがありますが、まず社長がビジネスアーキテクトとしての素養を身に付け、会社の旗頭として、会社が目指すDX化の方向性をしっかりと従業員に示せるかどうかが重要と言えるでしょう。

これは大企業か中小企業かを問いません。

DXに基本的な理解のない社長が、世の中の流れに乗り遅れまいと、プログラミングのできる人材を必死に集めているとしたら、そんな見当違いなことはありません。

次回は、特に中小企業におけるデジタル人材の育成や確保について考えてみたいと思います。

それでは今回はこの辺で。

宜しくお願い致します。

 

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