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執筆者の写真北島コウ

ChatGPTが与えるインパクトとは

更新日:6月4日

皆さん、こんにちは。

ここのところ大きな話題となっているChatGPT。

昨年2022年11月に彗星のごとく現れたこの画期的なソフトウェアについて、その可能性や危険性が連日新聞やネットなどで取りざたされています。

まだ私の中でも理解し納得できている状態では全くありませんが、現時点で報道されている内容をもとに、今後の社会にChatGPTがもたらす可能性などについて考察してみたいと思います。

パソコンのディスプレイにChatGPTと書き込んでいるイメージ写真

ChatGPTとは何か、なぜ突然登場したのか?

ChatGPTを開発したOpenAI社は、米サンフランシスコに本社を置く企業で、先日来日して岸田首相とも会談したサム・アルトマンCEO(最高経営責任者)の他、イーロン・マスク氏(テスラやスペースX等のCEO)などにより、2015年に設立されました(マスク氏は2018年に役員を辞職)。

2019年にはマイクロソフトから10億ドルの出資を受け、AI開発を加速させてきましたが、今回のChatGPTの大ブレークにより、今年2023年1月にはマイクロソフトから新たに100億ドルの出資を受けたようです。

ChatGPTは「生成AI」に分類されます。

「生成AI」とは文章の他、画像や音楽などを生成してくれるAIで、実は昨年2022年の夏ごろから、この分野では大きな進化が起きていたようです。

日本の先進AI開発ベンチャーとして有名なプリファード・ネットワークスや、マイクロソフトから独立分社したrinna株式会社などで、アニメーション制作分野に画像生成AIを活用する事例が一気に進み、過酷な制作現場の課題を改善する救世主として注目を集めたようです。

その極めつけとして登場したのがChatGPTで、これまでにない自然な言語で文章を生成する能力に世界が驚嘆しました。

文章や画像、音楽などを創作するというのは、人間の創造性のシンボルとも言える営みですが、それがAIによってここまで実現できるようになったというのは、「いよいよここまで来たか」と思わざるを得ません。

おそらくここ数年のコンピュータ・ハードウェアの進化と、ディープ・ラーニングなどのAI技術の発展が、ここへ来て一気に花開いたということではないでしょうか。

これまでもiPhone内蔵のSiriやAmazonのアレクサなど、いわゆる「対話型AI」は存在し、私たちもそういったAIによるサポートに助けられてきましたが、人間の創造性により近い「生成AI」の発達により、さらに大きく進んだ印象です。

ちなみにこの記事を書くのにChatGPTの助けは借りていませんので、念のため(笑)。

ChatGPTのトップ画面の画像
ChatGPTのトップ画面

ChatGPTの課題

ChatGPTは一大ブームを巻き起こしており、各企業において導入や活用に関する研究が進められている他、政府においても各省庁の業務への活用を模索する戦略チームが立ち上がりました。


◇日本経済新聞「チャットGPT活用へ初会合 霞が関の業務効率化探る」(2023/4/25)


一方で、同記事によれば、自治体の首長の中にはただちにこれを活用することに慎重な意見があることも報じており、この革新的技術とどのような距離感で接するか、戸惑いも大きいようです。

課題も多々あります。

例えば著作権保護上の問題。

AIが学習した知識の中に、著作権で保護されたものが混じっていた場合、それに基づいて生み出された生成物は著作権法違反に当たるのではないかという問題です。

ちなみに前述のアニメーション制作の場合は、使用許諾を得た画像のみを学習させることで、この問題をクリアしているそうです。

あるいは個人情報などの情報漏洩のリスク、またAIが誤った情報を学習することにより、誤った内容を生成するという問題もあります。

事実、ChatGPTが生成する文章は正確性を欠く場合があり、内容が正しいかどうかは人間が確認する必要があります。

学生さんがレポートにChatGPTが生成した文章を書いて提出したなんていう事例もすでに起こっているようですが、間違った内容で提出して単位を落とさないよう、気を付けてもらいたいものです。

故意にAIに偽情報を学習させ、フェイクニュースを広げるといったことも起こりかねません。

EUではこのようなリスクを踏まえ、生成AIの統一規制論も検討され、AIの生成物には「made with AI」のラベルを付ける案も浮上しているそうです。


◇日本経済新聞「EU、生成AIに統一規制論 『メード・ウィズAI』表示案も」(2023.4.25)


前述のアニメーション制作においても、AIによる生成物の出来具合にはかなりのバラツキがあり、広く利用するにはまだハードルもあるようです。

生成AIの革新的技術を広く人間の生活に役立つものにするには、まだ多くの課題を解決する必要がありそうです。

AIロボットと人々が輪になっているイメージ写真

革新的技術をどのように受け入れていくか

さらに、ここまで進化したAIによって人間の仕事が奪われてしまう、との見方があり、そのように煽るネット記事も多く見かけます。

確かに、そもそも技術革新というものは常にそういう性格を持っています。

昔はたくさんいたであろう馬車の御者さんが、自動車エンジンの発明後は急速に仕事を奪われてしまったように、新技術の創出によって必要とされなくなる仕事が出てくることは残念ながら事実だろうと思います。

しかしその一方で、人間が行うべき新たな仕事も生み出されるのではないでしょうか。

例えば、私は英語が得意ではないのですが、これまで苦手なりに一生懸命勉強して、外国人の方々とコミュニケーションをはかってきました。

もちろん語学学習の重要性を否定するつもりは毛頭ないのですが、私としては今後は、語学の勉強に時間を割くよりも、AI翻訳のテクノロジーを使いこなせるようになりたいと思っています。

これまでの経験から、語学スキルもさることながら、むしろ大切なことは外国の方と何を話すのか、日本人としての自分は何を考え、外国の方とどのように意見交換し、共感できるのか、その中身のほうこそ大切だと思うからです。

テクノロジーの力によって、そうしたコミュニケーションの壁が無くなるのであれば、本当に素晴らしいと思います。

このようなテクノロジーは翻訳や通訳に携わる方の仕事を一部奪うことになるかもしれません。

しかしそのことによって世界中の人々、英語圏だけでなく、様々な言語圏の方々と自由に意思疎通できるようになれば、もう少し世界を平和にしたり、公平に繁栄させたりすることに役立つ可能性もあると思うし、そういった仕事に携わる方も増えるのではないかと思います。

インターネットの登場に匹敵する革命とも言われるChatGPT。

これら生成AIを適切に利活用できる方向性はまだ不透明ですが、今後、中小企業のお客様がこうしたAI技術をどのように活用できる可能性があるか、そこで私がどんなことにお手伝いできるかについても、関心をもって考えていきたいと思います。

それでは今回はこの辺で。

 

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