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3G終了はなぜ今?通信業界の裏側とガラケー時代の終焉を解説

2026年3月31日、NTTドコモの3Gサービスが終了し、日本国内の3Gは完全に幕を閉じました。

ニュースでは「ガラケーの時代が終わった」といった懐かしさを感じさせる報道が多く見られましたが、実はその裏では、通信事業者にとって非常に大きな課題と調整があったのです。

今回は「3G終了はなぜ今なのか?」という視点から、通信業界の裏側を分かりやすく解説していきます。

皆さん、こんにちは。

前回記事では、4月1日より始まった「JAPANローミング」について紹介しましたが、今回は片や3月31日で終了した3G(第3世代携帯電話システム)についてです。

テレビのニュースなどでも、かつて一世を風靡したガラケーが完全終了として報道されていましたが、私は通信事業者で長年働いてきた者の視点から、少し違う角度で解説したいと思います。

 

◇前回の記事「JAPANローミングとは?無料で使える非常時通信の仕組みと注意点を解説」(2026/3/31)

ドコモショップの店頭に貼られていた3G終了のポスター

3G終了とは?世界をリードした日本型ビジネスモデル

携帯電話システムの変遷については、下記のニュースレター記事で、図を作って解説しています。

 

◇過去の記事「世界の携帯電話変遷の歴史とこれから」(2025/12/2)

 

この図では3G→4G→5Gと切り替わっていくような絵になっていますが、実際には3G、4G、5Gは並行してサービス提供されており、NTTドコモの3Gサービスが先日3/31をもって終了したものとなります。

KDDI(au)は2022年3月末に、ソフトバンクは2024年4月15日に、すでに3Gサービスを終了しており、今回のNTTドコモで全てが終了したということになるわけです。

上の記事でも触れているとおり、3Gサービスは2000年ごろから2010年ごろにかけて、各通信事業者の仕様に基づいてメーカーが携帯電話機を生産し、それを通信事業者が全数買い取ってショップや家電量販店で売るという、いわゆる「垂直統合型」と呼ばれるビジネスモデルでした。

これにより、写メールや着メロ、ワンセグなど(最近の若い方には何のことやら分からないかもしれませんが)、日本独自の仕様による携帯電話が爆発的にヒットしたのです。

またデータ通信速度が速くなっていったことにより、携帯電話のブラウザからインターネットに接続できるようになり、NTTドコモではiモード、auではEZWeb(イージーウェブ)、当時のJ-Phone(現在のソフトバンク)ではJ-SKYといった名称で、Eメール(キャリアメール)や情報サービス、携帯ゲームなどが大きく広がりました。

2010年ごろより、世界中で標準化された4G-LTE方式が開始され、iPhoneが世界共通端末として発売されたことで、「垂直統合モデル」は終焉を迎えますが、それまでの3G時代は日本型ビジネスモデルが大きく花開き、日本の技術が世界をリードしていた時代だったと言えます。

ガラケーなどの携帯電話機が積み上げられている様子

3G終了はなぜ今?ガラケーを使い続けるお客様の存在

ところで4G-LTEサービスが始まってからすでに15年以上も経つのに、なぜ今ごろ3G終了なのでしょうか?

それは3Gサービスをいまだに利用しているお客様が、ずっと残っていたからです。

冒頭の写真は、3月末ごろにドコモショップの店頭に貼ってあったポスターですが、このように今も3Gのガラケーをお使いのお客様はいらっしゃったわけです。

3Gサービスが終了すると使えなくなりますので、できる限り4G/5G対応のスマートフォンに機種変更していただけるよう、何度も何度もご案内して、粘り強くお願いしていかねばならなかったのです。

でも、もしかしたら「あれ、3Gサービスは終わったはずなのに、まだ自分はガラケーを使ってるぞ」と思われた方がいるかもしれません。

私の母(87歳)も、見かけはガラケー型のau携帯電話(京セラ製KYF36)を今も使っています。

実はこれは「ガラケー」ではなく、いわゆる「ガラホ」、つまり折りたたみ携帯電話型のAndroidスマホです。

KYF36の場合は、発売当時(2017年)のAndroid5.1をベースにカスタマイズされたOSで、Google Playには対応せず、LINEなどの一部アプリのみが使える仕様となっています。

通信サービスは4G-LTEを使用しており、音声通話もVoLTE(ヴォルテ=Voice over LTE)に対応しています(KYF36はすでに販売終了済み)。

かつての耳にフィットする形状と数字キーから離れられない一定数のお客様のために、こういったニッチな端末が作られ続けているということですね。

ガラケーとガラホ(京セラKYF36)の写真

見落とされがちな課題:自動車などIoT機器のシステム移行

人が使う電話機はスマートフォンやガラホに機種変更してもらうことで減らしていけますが、実はもっと厄介なのが、システムに組み込まれた通信モジュールです。

その代表は、自動車でしょう。

当時は比較的上位車種に搭載されていたトヨタのG-Bookや日産のカーウィングスなどのいわゆるカーテレマティクス(自動車を通信ネットワークにつないで車両管理や事故時の緊急通報を行うシステム)は、3G時代に本格化しました。

3G通信対応のDCSと呼ばれる車載通信機が自動車内部に組み込まれ、基本的に取り出せないので、電話機のような機種変更はできないのです。

トヨタG-Bookの場合は、NTTドコモやauの3G通信モジュールが採用され、組み込まれていましたので、3Gサービスを終了するためには、このような車両の扱いをどうするかが大きな課題となっていたのです。

KDDIはトヨタ自動車が主要株主ということもあり、かなり早い段階から3G巻き取りに向けた協議を始め、スマホのテザリングによる代替などの逃げ道を作ることで、早期の3G終了を達成できたようです。

ドコモがここまでかかったのには、こうした巻き取りに時間を要したことも一因だったのではないかと推測されます。

ちなみに、このように自動車を始めとする様々なシステムに通信機能を内蔵することを「IoT」(Internet of Things)と言い、これについては過去のニュースレター記事でも紹介しています。

 

◇過去の記事「人口減少社会を乗り越えろ、IoT技術について」(2025/3/11)

 

古いシステムを早く終了させれば、残っている減価償却費の簿価を一括で除却して将来の財務負担を軽減できますし、古いシステムにかかるメンテナンス費や保守費も不要となります。

3Gサービスのために使用していた周波数も4G-LTEに転用して広帯域化することで、より高速・大容量なサービスにすることができます。

4G/5Gが主力となっている今、各通信事業者は一刻も早く古い3Gを巻き取りたかったわけですが、こうした事情により終了時期には4年もの差が出たということになります。

自動車の組み込みモジュールについては、こうした3G時代の教訓を経て、今では交換可能な独立ユニットにするとか、オンラインでシステムの最新化ができるOTAと呼ばれる仕組みを導入するなど、同じ轍を踏まないための対策が進んでいます。

いかがでしたでしょうか。

一つの時代の終わりということで、ちょっとノスタルジックな語り口で報道されていた3G終了ですが、実はその影に各通信事業者のサービス終了に向けた大変な苦労があったことをご理解いただきたくて、この記事を書いてみました。

では、今回はこの辺で。

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