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執筆者の写真北島コウ

基本に徹することの重要性

皆さん、こんにちは。

今回は、私がかつて法人向けサービス開発を行っていた際の経験を通じて、基本的なことをきっちりやることの重要性についてお伝えしたいと思います。

芝生の上に「基本」の文字が書かれたブロックが置いてある、基本が大切であることを示すイメージ写真

データ通信普及期に企画した法人向けサービス

私が法人向けサービス開発を担当していたのは、西暦2000年前後の約10年の期間ですので、今からもう20年近く前の話になります。

90年代後半からインターネットや携帯電話が急速に普及し始め、この頃にはADSLなどの技術を使った格安のインターネット常時接続サービスが登場するなどにより、法人のお客様においてもこうした新しい技術を使い、社内ネットワークを高度化しようとする動きが出てきたころでした。

今では普通に使っている「ソリューション」という言葉も、ちょうどこのころから使われ始めました。

企業が社内ネットワーク(本社と支店とを結ぶネットワーク)を作る場合、それまではDSUまたはONU(回線終端装置)を分界点として、外側は通信事業者の守備範囲、内側はSI事業者(例えばNECさんや富士通さん、日本IBMさんなど)の守備範囲と、はっきり責任区分が分かれていました。

企業さんはSIerさんとシステムの打合せを全て終えた後、最後に私たち通信事業者が呼ばれて、値段のたたき合いをさせられるという時代だったのです。

しかしながらこの時期からネットワークが高度化することにより、ネットワークもシステムも一体的に見なければならない必要性が高まり、一元的な提案が求められるようになってきました。

当社においても、大手のお客様向けには専任技術者が張り付いて、サーバー構築や運用まで含めて、ワンストップでご提供するような「個別ソリューション」を提供して、ウン千万円とか億とかいう大型案件も手掛けるようになっていました。

ただ、全国の中小企業層のお客様向けに、専任担当が張り付くような高額なソリューションは提供できません。

そこで私が考えたのは、回線プラスアルファで、もう一段階内側のルーターなどの機器までワンセットで提供するサービスです。

回線とパッケージ化して提供するという意味で、「パッケージソリューション」と名付けました。

筆者がかつて企画したパッケージソリューションの概要を示す図

お客様に高評価いただけたポイント

このように図に描くと、DSU/ONUからたった1段内側に入っただけ。

「たったこれだけ?」と思われるかもしれません。

しかしながら各拠点間のIPルーティング設計まで一元的にできることで、お客様には大変ご好評いただけるサービスになったのです。

加えてルーターの設置費用を含めた代金を月額レンタル料金化して、回線の月額料金と一括請求した工夫も、非常に好評でした。

今から思えば、今で言う「サブスク化」ですね。

中でも喜んでいただけたのが、障害発生時のワンストップ保守対応です。

ネットワークがつながらないなどの障害が発生した際、回線の障害なのか、ルーターの故障なのかの切り分けが肝になります。

従来の責任分界では、いつもここがトラブルのもとになっていました。

パッケージソリューションでは、私たち通信事業者側で回線区間の障害かどうかをチェックした上で、回線区間でなければルーターの故障と判断し、通信事業者からパートナーの機器ベンダーに連絡して現地に駆けつけてもらう仕組みを作りました。

この仕組みを、全国の法人営業担当者が、パートナーベンダーさんの協力をいただきながら提供できるようにしました。

当時はまだ営業担当にIP技術の知識は乏しく、知らないサービスを売ることに尻込みする者もいたと思いますが、パートナーベンダーさんに協力いただくことで、営業担当者の技術知識の底上げにも役立ったと思います。

こうしたパッケージソリューションの仕組みは、あれから20年経った今も、数あるソリューションサービスメニューの一つとして提供され続けているとのことで、大変嬉しく思っています。

ハブのようなネットワーク装置に多数のLANケーブルが刺さっているイメージ写真

複雑・高度なものが良いとは限らない

以上述べてきたように、パッケージソリューションは決して複雑・高度なサービスではありません。

しかしながらシンプルなサービスを、料金請求や運用まで含めて、全国どこでも均質に、そしてリーズナブルな料金で提供できるようにしたこと、つまり基本的なことをきっちり提供する「仕組み」を作り上げたことが、お客様に高く評価いただけた理由だと思います。

時代は移り、DXの時代となりました。

DXにおいても、ビッグデータだの、AIだの、ロボティクスだのと、複雑・高度な話がやたらと出てきて、中小企業の皆様におかれては、一体何をどうすれば良いのかと戸惑っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。

しかしそんなことに惑わされる必要はありません。

答えはシンプルなところにあると思っています。

情報通信業界で36年の経験を踏まえ、まずはお客様の抱えていらっしゃる課題をお聞きした上で、その解決策を一緒に考えていく、そんなお手伝いをさせていただければと考えております。

何事もそうですが「基本が大切」、これに尽きると思っております。

それでは今回はこの辺で。

宜しくお願いします。


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