皆さん、こんにちは。
先週はニュースレター記事配信をお休みさせていただきました。
実は、行政書士の初仕事として、補助金申請関係の仕事のご依頼をいただきまして、それに取り組んでいます。
といっても、まだ駆け出し者ですので、すでに採択された別の補助金の事業計画書を参考に、それをリバイズするという、比較的軽易なところから始めさせていただけることになりました。
本当に有難いことですので、まずはこれをしっかりとご満足いただける水準に仕上げ、信頼いただけるようにすることで、今後の受注拡大につなげていきたいと考えております。
さて、そんな中ですが、先週の日本経済新聞の記事に「衛星通信もマスク氏席巻 - 日本勢は影薄く」という記事が出ていましたので、今日はこれを少し解説したいと思います。
◇日本経済新聞「衛星通信もマスク氏席巻 - 日本勢は影薄く」(2023/7/9)※全文を読むには日経IDが必要です。
テスラなど、数々の先進事業を手掛けるイーロン・マスク氏率いるスペースXが打ち上げる通信衛星の数が、世界全体の6割強となり、存在感を高めているという内容です。
スペースXのロケットで打ち上げられる通信衛星により提供される宇宙通信事業スターリンクの衛星は、今年7月時点ですでに4,700機を超えており、これらが上空300~600kmという比較的低軌道を周回することで、世界中どこでもインターネットに接続できるというサービスを展開しています。
驚異的な通信スループット
YouTubeには、実際にスターリンクを使ってキャンプ場などでインターネット接続してみた、といった動画も多数上がっています。
それによると、一辺50センチ程度のプレート状の「ディッシュ」とよばれるアンテナで衛星を捕捉する固定通信スタイルの場合、通信速度(スループット)はダウンリンク(下り)で100メガビット毎秒以上、アップリンク(上り)で50メガビット毎秒程度も出るとのことです。
エリア状態が良い環境でのLTE並みの通信速度が出ていて、動画配信なども問題なく視聴できるということで、これが個人でも初期費用36,500円、月額利用料6,600円で利用できるとは、なんともスゴい時代になったものです。
私も以前に、通信事業者の建設部門で勤務していた際、基地局のバックホール回線としてIP Starという衛星通信サービスを使ったことがあります。
携帯電話サービスのエリア拡大を行う際には、基地局を中枢のコアシステムに接続するバックホールとして光ファイバー回線が必要になりますが、それが引けないような山奥などでは、衛星通信に頼らざるを得ない場合があるのです。
2010年前後のことです。
ですが、これはせいぜい1.5メガビット毎秒程度しか出ず、お世辞にも「ブロードバンド」サービスのバックホールにはならないものだったのですが、他に代替手段もなく、とにかく一応「つながる」というだけのために利用せざるを得ませんでした。
それから10年余りで、ここまでの進化を遂げているとは、スゴいことだと思います。
KDDI(au)などは、スターリンクのサービスを山間部の基地局バックホールに使う試みをすでに始めたということで、これだけのスループットが出るならば、山奥などで接続端末数がそう多くない利用環境ならば、十分「ブロードバンド」と言えるサービスのバックホールとして使えそうです。
災害時の緊急通信回線としても
こうした衛星通信サービスは、大規模災害が発生した際の、いわゆるBCP(Business Continuity Planning:事業継続計画)の用途としても必須となります。
特に地方自治体などでは、これまでもインマルサット衛星を使ったBGANとか、イリジウムなどの衛星通信サービスを、災害時通信手段として準備していたと思います。
しかしこれらはいずれも、低速のデータ通信や音声通話にしか使えないため、主に役所の職員どうしの連絡手段にしかなり得ませんでした。
いまや大規模災害発生時には、避難所でWi-Fiによるインターネット接続が利用できるなど、被災者の通信環境をいかにして確保できるかがカギとなります。
スターリンクは、こうした位置づけでも、今後普及が進むのではないでしょうか。
スマホで直接衛星通信の時代も!?
雑誌テレコミュニケーション2023年7月号の記事によると、米クアルコムが計画する「Snapdragon Satellite」というプロジェクトでは、イリジウム衛星を使い、普通のAndroidスマホで双方向メッセージングサービスを2023年後半から提供開始する計画だそうです。
また、アップルのiPhoneでは、Globalstarの衛星を使ってテキストメッセージを送受信できるサービスを、すでにiPhone14シリーズから提供していますが、残念ながら現時点では日本は未対応となっています。
◇雑誌テレコミュニケーション 2023年7月号
いずれもスマートフォン内蔵の小さなアンテナでは、衛星からのダウンリンクの電波は受信できても、上空数百kmまで電波を飛ばす(アップリンク)ことは難しいため、動画のようなブロードバンドサービスではなく、テキストメッセージやせいぜい音声通話などが中心となるものと思われますが、それでも海でも山でもどこでも使えるとなれば画期的なこととなります。
冒頭の日経記事では、こうした衛星通信ビジネスに「日本勢は蚊帳の外」とされています。
やはりこうした技術には軍事技術の要素が不可欠で、日本には不得意な分野と言わざるを得ないでしょう。
とは言え、こうした衛星通信のインフラをうまく活用して、「災害大国」日本において、大規模災害発生時でも、人々の安全・安心を確保し、被害を最小化するというモデルケースを作っていけば良いのではないでしょうか。
通信ネットワークが、生活やあらゆるビジネスの基盤となっている時代だからこそ、こうしたインフラも様々な手段の一つとして活用していくことが重要かと思います。
それでは今回はこの辺で。
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